介議保険制度においては、寝たきりや痴呆などで、常時介護を必要とする状態にある者(要介護者)は、介護保険による居宅サービス・施設サービスの提供を受けることができます。家事や身支度などの日常生活に支援を必要とする状態にある考(要支援者)ぱ、介護保険による居宅サービスの提供を受けることができます。医療・福祉・年金の一体化が、今後わが国の大きな問題であるといわれ、今年四月の介護保険法の施行にともない、税法上も医療費控除の対象となる医療費の範囲の整備が行われていますので、今月はこの問題について説明します。 |
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介護保健法における医療費控除の対象となるもの | |||||||||
在宅介護については、ケアマネージャーが要介護者等の主治医師の意見等を踏まえて作成した居宅サービス計画にもとづき、医療系居宅サービスの提供と併せて利用する訪問介護(家事援助中心型のものは除く)、訪問入浴介護、通所介護およぴ短期入所生活介護の介護費にかかわる自己負担額に相当する金額が、医療費控除の対象となります。 おむつについては「おむつ使用証明書」と領収書があれぱ、医療費となります。 また、老人保健施設の食費や入浴費、一定条件を満たす場合のケアハウスの利用料金なども、医療費に含めることができます。 介護保険制度の下では、特別養護老人ホームは診療所に準ずるものと位置づけられたため、提供されるサービスは日常生活上の世話と看護、医学的管理の下における療養上の世話との二つになります。 本来ならば、療養上の世話などに相当する部分の金額が医療費控除の対象となりますが、日常生活の世話と区分ができないということで二分の一の負担とされました。 |
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医療費控除の対象になるもの対象にならないもの | |||||||||
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医療費控除を受けられるものと受けられないものの概要は、表に記載したとおりですが、LおよぴMが今回新たに追加されたものです。 薬局などで購入する漢方薬や売薬で医療品でないものは医療費控除の対象外ですが、医薬品に該当し、かつ治療を目的として購入したもの、あるいは医師の処方にもとづいて購入したものは医療費控除の対象となります。 薬局で薬などを購入し、それを医療費控除とする場合には、領収書などに薬の名前を書いてもらうと、税務暑とのトラブルを防ぐことができます。 通院のための交通費ややむを得ない場合のタクシー代、お年寄りや子供が一人で通院できない場合にやむを得ず付き添った場合の付添人の交通費も、医療費控除の対象になります。 しかし、自家用車のガソリン代や駐車料金、あるいは便利だからといって利用したタクシー代などは対象外となります。 医療用器具を購入したり借りたりする場合の費用は、医師の治療や診療を受けるために直接必要なものだけが、医療費控除の対象になります。 歯の治療をすると医療費控除を受ける場合が多くなりますが、あまりに高額であれば医療費控除が認められない場合もあります。 ただし、美容を目的としたものでない歯の矯正費用や金歯あるいはポーセレンを使ったクラウンの装着は、高額であっても一般的な治療と認められ、医療費に含められます。 デンタルローンを信販会社などと組んだ場合は、借入を行った時に信販会社が治療費を立て替え払いしますので、借り入れた金額を医療費控除の対象とすることができます。 しかし、ローンの金利や手数料相当額はもちろん、その後の返済金も医療費控除の対象とすることはできません。 出産費用については、妊娠と診断されてからの定期検診・検査の費用、通院のための費用(実家に帰って出産するための旅費は除く)、保健婦・看護婦などによる世話の対価、助産婦による分娩介助料・保健指導料まで、ほとんどの支払が医療費控除の対象とされます。 ただし、分娩給付金や出産育児一時金などがでた場合には、これらの医療費から差し引かなければなりません。 なお、健康保険法の規定にもとづく出産手当金は、給与減少分を補てんするためのものですから、控除する必要はありません。 なお、同居していない親族の治療費を支払った場合にも、生計を一にしている場合には医療費控除の対象とすることができます。 たとえぱ、母親に仕送りをしていて、その仕送りで母親が生活しているような場合には、母親の治療費を医療費控除の対象とすることができます。 また、他家へ嫁いだ娘の医療費については、嫁ぐ前までのものは親族の医療費とみなされますので、控除することができます。 |
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歯医者さんの待合室2001年1月月号暮らしの税金より引用改変