最近のインプラントには多種の材料、形態、治療方法が開発されています。
過去の失敗にもめげず、次々と新素材が開発され、材料はもちろん、治療方法に改良が加えられ、だんだんインプラントの良い点が見直され、一般開業医にも比較的簡単に応用されるようになりました。
今回、米国カルシテック社より開発されたインテグラルインプラントの臨床応用の機会を得たので第一報としてインプラント本体の植立について術式と臨床例を報告する。
インプラントの成功の要件は
1.長期成績が良好であること、
2.術式が簡単であること、
3.そしてよく噛めることである。
また、口腔外科、補綴、歯周病の処置が十分出来ることが必要である。
インプラントの材料の分類は以下の通りである。
1.素材(アルミナ、チタニウム、アパタイト、 結晶化ガラス、形状記憶合金)
2.デザイン→(プレート、スクリュー、シリン ダー、ピン)
3.組立→(ワンピース、ツーピース)
4.結合形態→(ファイブロインテグレーション、オステオインテグレーション、バイオインテグレーション)
インテグラルインプラントの本体は1984年にカルシテック社より開発されました。
インテグラルインプラントの本体はチタン合金(6%アルミニウム14%ベネジウム合含)にその表面にHAプラズマ照射されています。
これは純チタンの4倍の強度を持ち表面にプラズマコーティングされた結果、表面積が照射されないものより6倍もの表面積を持ちます。
本体は直径3.25mmと4mmの2種類があり、それぞれ長さ8、10、13、15、18mmのものがあります。
インプラントの成功成績は、ある統計によると、ブローネマルクインプラントが5−12年後の安定率は下顎は93%、上顎は84%であり、上顎の成績が悪い結果となっています。
一方インテグラルインプラントは5年後の安定率は上下顎の区別なく97%〜98%であります。
この成績からみてインテグラルインプラントは上下顎とも大変安定性のあるインプラントであり、特に米国においては近年では臨床数のNo.1を誇っています。
インプラントのデザインについては、インプラント本体どうしでは中心より10mm以上スペース(本体間は5mm以上)、天然歯と本体の間は3mm以上のスペースのあるものが望ましい。
また咬合の関係にも対合歯の調和を考えて植立しなけれぱなりません。
さらにハイジーンも考慮していきます。
次に術式は以下の通りです。
1.通法により、消毒、切開、歯槽骨整形
2.パイロソトドリル(先導抗)
3.パラレルピンの試遺
4. ロゼソトバー
5.中間スペースドリル
6.パラレルピンの再試適
7.カウンターシンドリル(導入抗)
8.ファイナルスペイドドリル(最終形成)
9.ポディートライン
10.本体埋入
11.マレット
12.縫 合
以上の通りである。術式は規格化された器具に手順通り行えば比較的簡単に、さらに短時問にて終了します。
最も注意すべきことは骨にドリルするときは700回転/分以下にして十分に注水することです。
臨床術式は紙面の都合により略させていただきますが、成功のカギは十分な診査診断をすること。
特に、ドリルの深さを決めるときはレントゲン上にて、正確に測定する方法を確立することです。
今回講演会で報告したようなボールベアリングを応用することにより、実際のレントゲン上の拡大率を測定する方法があります。
また、トモグラフィーや特別な断層写真の応用についても条件が整えば、その応用を考えています。
最後に貴重な資料の提供とアドバイスをいただいた東日本学園大学の田中収教授とスライドと資料整理をしていただいた歯科衛生士の石川君に感謝するしだいです。
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