学校歯科医部会 研究発表
『法改正に伴う歯科健康診断について』 学校歯科医 山 田 雅 昭
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平成6年12月8日付において、学校保健法の規則の一部が改正になりました。この改正は、平成7年4月より施行されることになっております。旭川市の場合は、旭川市教育委員会と旭川歯科医師会の打合せによりまして、今年度は完全実施を致しませんで、平成8年4月から健康診断票の新しい改正による方法を実施することになりました。今回は法改正による学校検診について、特に新しい様式による歯科検診の実践について話をしたいと思います。この改正をふまえ、各学校において、健康診断が円滑に実施され、適切な健康管理、健康指導の充実をはかっていくことを望まれます。学校での健康診断は精密検診ではなく、スクリー二ング、いわゆるふり分けをねらいとし、適切な事後処置がとれることを前提として、健康者、非健康者に分けていきます。今回の歯科検診の診断項目に1番目として、CO、GOの概念が入りました。2番目としては、歯垢の付着の状態、3番目として、歯列、咬合、顎関節の検査項目が導入されました。また、様式が新しくなったので、これを含めて今日は皆さんといっしょに勉強していきたいと思います。 手元の資料の2枚目を、お持ちの方は見て下さい。様式1と書いてあります。これが新しく健康診断票となったものです。我々、歯科医と学校関係者の皆さんで検診することになりますけれど、診査項目、ここでいえば、氏名、性別、生年月日、年令、年度、それから後ろの方にある、歯の状態、事後処置。これは、養護の先生方あるいは担当の先生に記入してもらうことになります。それから検診項目としては、歯列、咬合、顎関節、歯垢の状態、歯肉の状態、そして、歯式、それからその他の疾患、学校医の所見、これは学校歯科医の検査項目となります。それで、変わったところだけをお話します。 次の一番最後のたて長の資料表1をご覧ください。これは原案として作ってあります。上から順番に、歯列、咬合、顎関節、この3つの検査は口腔内診査をする時に検査します。そのうちの、0、1、2と考え方としては、異常がない(0)、異常がある(2)というふうに考えていきます。その中間が1として考えていきます。それで、今回の特徴としては検診をする時に、今までは、ロを開けて口腔内の診査をしていました。ところが、今回からは、顎の関節の状態、咬合の状態、歯列の状態をみるために、最初は児董生徒に口を閉じた状態で、検診をすることが第一となりました。すなわち、最初に口を開けるのではなくて、検診者のところで口を閉じて健診が始まる、ということになります。そして、顎の状態、正面の顔貌、側貌、噛み合わせ、歯列、ロ腔内診査していきます。備考としては、歯列不正、咬合不正、分類が書いてあります。あとでスライドで詳しく説明します。 次に、歯垢の状態、次の項目です。これも、0、1、2。0というのは、ほとんど歯垢を認めないということです。それから、1は表面の1/3に歯垢の付着を認めるもの、2はそれ以上に歯垢が付着している。 それからあと、歯肉の状態、新しい概念として、GOがつけ加えられました。GOというのは、歯肉に軽度の炎症が認められている、歯石沈着は認められず、注意深いプラッシングを行うことによって炎症が消失するような歯肉をいう。これは、学校内で保健指導を行うことで、その子どもが一生懸命みがくことにより、正常になるという考えです。それを今回でぱ、1と記入し要観察GOとして取り扱います。 それから、2、として要精検、歯周疾息がある。精密検査が必要であるということです。 下は今までと同じように、永久歯、乳歯の歯式を書く欄です。ここでも新しい概念ができまして、1番上の要観察歯、COという概念があります。COというのは、探針を用いて触診では、う蝕と判定しずらい、小窩裂溝の着色や粘性がある、平滑面では白濁や褐色が認められるが、実質欠損がないというもので、まだ、むしばがない。それがCOという概念です。こういう場合は、予防処置にするだけで、むしばが進行しないだろうというふうに考えてよろしいです。 1番下から3番目、その他の疾息、主に舌小帯異常、ロ臭、ロ蓋破裂などを記入します。 それから、担当学校歯科医の所見、これも異常が(1とか2、)それで所見を書くということです。 もうひとつ大事なことは、1番最後に事後処置でBからEの分類で、家庭内での指導、あるいは、専門医での検査、など必要となります。
『法改正による学校歯科検診について、特に新様式による歯科検診の実際』
歯、ロ腔の健康診断〜実施計画の立案
検査の準備
消毒
照明
歯列不正
それから顎関節です。
次に歯垢の状態です。
次に歯周疾息、要観察者、GOです。
次に要観察歯。
これからはスライドを見てみましょう。(スライド略) 次は、今ならCの1とかそういうような概念でいいますけれど、色はついている、でも探針で探ってみると実質欠損がなくてちょっと入るSTlCKY感、穴があいていない。これはCOという概念です。 次に平滑面、白くなっているところです。歯と歯の間が白くなって今にこれも色がついて白くなっていれば、探針で探ると何でもない、でこぽこしていないとわかります。 専門的には小窩裂溝といいますが、小窩裂溝に探針が入ってもむしぱじゃないそういうふうに解釈されています。 次に小臼歯ですが、実際に抜いた歯を集めてきたものですが、1つ目はむしぱじゃない状態です。 2つ目は、真ん中に黒っぼいものがみえます。探針でさわると穴が開いていない、COという概念です。 3つ目は見た目にはちょっとはっきり見えないですけど、色がついているなと、探針で探ってみると、1ミリか2ミリ入ります。これはC、むかしでいうとC2いったかもしれません。今では、むしばがあるかないかCと診断します。 検診では暗いところでやるとどうしてもまちがいが多いので、なるべく明るいところでみたいと思います。したがって探針が必要かと思います。実際にわかりやすく理解するため歯を割ってみました。3番目は何でもございません。1香目はCO、2番目はう蝕です。ちょっと見ずらいと思いますけど、実物を見ると、ああ、なるほどとおもいます。 ここで大事なことは、学校歯科医の所見欄のところに記入をしなくてはいけない、大変面倒になります。 事後処置は大事です。学校の養護の先生方も、う歯、歯周疾患、不正咬合、顎関節の疑いのところにどういう処置をしたらいいだろうか、と書く記入欄です。 以上のとおり、学校検診では検査項目が増えまして、今年の3月に養護の先生方に検診の方法を説明したこと、検査項目が増えて、非常に大変な手数がかかるといわれました。これは、子供たちの歯の健康を守るためにどうしても必要なことで、我々も検診に90秒という時間がかかるといわれてますけど、スムーズにすすめていきたいと思います。これからの子供たちの健康を守るために、是非とも皆さんの協力と我々歯科医のいっしょの協同の力で、何とか皆さんの健康を守りたいと思います。
資料等略(様式1=児童生徒保健診断表、様式2=左に同じ、表1=歯・口腔の健康診断表の記号および記入のための参考資料)
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