山田歯科東光歯科の紹介

 
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ODONTOS No.25 NOVEMBER 1989より転写
 
 
●ユーザー訪問1P
 

診療室と技工所、合わせて3カ所の計26人 
のスタッフに対して、パソコン5台、ワ−プ 
ロ2台を備え、フルに活用しておられる歯科 
医院がありました。場所は北海道旭川市。 
昭和49年、東京歯科大学卒業の山田雅昭先 
生はご自身でコンピュ−タによる「歯科診断 
ソフト」を開発し、利用もしているというパ 
ソコン・デンティスト。院内、院外コミュニ 
ケ−ションの活性化に人一倍気を使い、その 
ためにOA機器を役立てている新い時代のマ 
ネ−ジメントとも言えそうです。きっと皆さ 
まの参考になるに違いないと思い、お忙い中、 
取材にご協力いただきました。 

初めはレセプ卜用にオフコン。 
今はパソコンが大活躍。 

北海道北部の経済・行政の中心。旭川市ご出 
身の山田先生――昭和49年に東京歯科大を 
ご卒業になるとまず札幌て勤務医をご経験の 
後、昭和53年に旭川の中心部に「山田歯科」 
を開設。55年には技工と医療材料の販売を 
目的にした「アップルズファミリ−企画」を 
設立。その後、市の周辺部に新輿の佐宅街が 
続々と誕生するのを見て、中心部から車で10 
分ほどの旭川市東光という所に分院として 
「東光歯科」を開設し、現在に至っておられ 
ます。スタッフはドクタ−4名、歯科衛生士 
l0名、技工士6名を含め、総勢26名。こ 
れだけのご説明ても、山田先生の医院経営の 
積極的姿勢がご理解いただけるのではないで 
しょうか。 
この山田先生が初めてコンピュータを導人な 
さったのが昭和57年。この当時、パソコン 
ではレセプト作成が出来ないということで専 
用にオフコンを導入。別にもう一台、8ビッ 
トパソコン=PC880Oも入れられたと言 
います。「結局、このオ         

 
 
 
●ユーザー訪問2P
 
フコンは高いものにつきました。その時、OA機器は使 
い始めるとキリが無いことを実感。以来、いかに経済的 
にやるかを慎重に考えるようになりました」とおっしゃ 
います。 
一方のパソコンの方はどうかというと、「患者さんが自 
分でこれを操作して歯科診断が受けられるというオリジ 
ナルソフトを作りましてね。もちろん具体的に診療と関 
わるほどの内容ではないのてすが、患者さんに対する動 
機付けという意味で誰にでも触れる受付の横に今でも置 
いています」。このソフト、山田歯科の中だけてな<、 
地元デパートの<ムシ歯デ−>のイべント会場にも貸し 
出されたことがあると言いますから、地城医療にも役立 
った訳てす。先生のようにご自分てソフト開発までする 
という方は、最近ては少なくなりましたが、以前は時々 
耳にした話。山田先生もいわゆるパソコンのマニアの一 
人だったとも言えそうです。 
そんな先生てすから、何かと融通の効かないオフコンよ 
り、種々なソフトが選んで使えるパソコンの方に魅力を 
感じたのてしょう。折角入れたオフコンに早々と見切り 
をつけ、2年後の59年にはl6ビットのパソコン= 
PC98OOを導入され、今日までこれを中心にしたシ 
ステムを活用しておられます。参考までに山田先生がど 
のようにコンピュ−タなどのOA機器を利用しておられ 
るか、機種とソフトと応用例のご紹介をさせていただき 
ましよう。 
 
●機種  
PC8800 デスク卜ッブ1台 
PC98O0 デスク卜ップ1台、ラップ卜ップ2台 
J−3100 1台 
ワ−プ口 ルポシリ一ズ3台 

●応用例( )内は利用ソフト 
レセプト(TDM)     本院と分院で利用 
デ−タべース(アイリス)  1万2千人分の患者情報入力、定期検診の案内、健康教室の案内、医療統計、在 庫管理 
パソコン通信(まいと〜<)  本院と分院のデ−タ通信、PCVAN利用 
キャプテンシステム(NTT) 分院での情報収集 
ワープ口(−太郎)      院内/院外文書、書式、 
グラフ(シンプルチャ−ト)  医療統計グラフ、スライド作成 
財務会計(オ−ピンク)    医院/技工所の会計経理 
コンピュ−タ歯科診断     本院患者待合室用 

ご覧のとおり、相当な数です。でも、これだけパソコンに強そうな山田先生にも見込み違いと 
いうものは在るようで、パソコン通信について次のようなエピソ−ドをご紹介下さいました。 
「矯正や義歯、その他の難症例については、分院の,患者さんでも本院の方で私が診るという 
ことがあるんです。そんな時、分院の患者データを本院に送るのに パソコン通信を使うつもり 
だったのて”すが・・・・、実際は煩わし<てだめ。結局ファックスでやりとりするようにな 
ってしまった」とのこと。なるほど、出来 ることが全て現実的とは限らない訳です。      
 
 

 
 
 
●ユーザー訪問3P
バソコンもフアックスもコミュ二ケ−ションツール 

ところて山田先生のパソコン活用をみて注目 
すべきなのは、レセプト作成が全体の中の一 
部でしかないという点。レセプトだけなら、 
以前使っておられたオフコンをやめる必要は 
なかったはずです。それを敢えてパソコンに 
切り換えたのは、ご自身の発想に基づ<シス 
テムを実現されたかったからに違いありませ 
ん。では、その発想とは何だったのてしよう。 
それを理解するためには、先生ご自身が語る 
”理念”を知る必要がありそうです。 
「まず第―に、私は患者さんとの信頼関係を 
大切にしてい<ことを考えています。患者さ 
んに予防の大切さと治療内容を充分に説明し 
て理解してもらいたい。そのためには患者さ 
んとの充分なコミュニケ−ションが必要てす。 
だからきめ細かい問診検査を行い、その上で 
予防と治療を同時に進めていくようにしてい 
ます」。 
こうした埋念を実行するには、何と言っても 
患者さんが来院して下さらなくてはなりませ 
ん。そのために先生はコンピュータを使う― 
つまり、リコ 
  
  
  
  
  
  
  
  
  
 
 

 
 
 
●ユーザー訪問4P
 

 
−ルシステムとしてです。「うち 
のやり方を、私は’ゆるやかなリ 
コ―ル”と呼んでいます」と、山 
田先生。原則的には年1回のリコ 
―ルですが、先生のところでは初 
回の来院の時期にあまりこだわら 
ず、その,患者さんにとって都合 
の良さそうな月を選んでパソコン 
にインプットし、リコール葉書を 
出しているのだそうです。例えぱ 
農家の人なら農閑期、学生であれ 
ば春休みや夏休みといった具合い 
にです。「葉書を出した月に必ず 
しも来院しな<ても良いことにな 
っていますから、当月は20%〜 
3O%ですね。て。も、最終的に 
再診率は80%になります」とお 
っしやいますから、大変なことで 
す。 
こうしてリコ一ル葉書が出せるの 
も、その結果を先生が把握してい 
られるのも、全てパソコン活用の 
おかげという訳です。さらに住宅 
地にある分院では、月に1回のぺ 
−スで無料の「歯の健康教室」を 
開いておられますが、その時々の 
テーマに合わせて案内葉書を出せ 
るのもパソコンならでは。取材に 
伺った日は、たまたま「3歳から 
小学校2年生までの歯の健康教室」 
ということで、 

 
 
 
●ユーザー訪問5P
子供たちと母親が集まっていまし 
たが、対象となるこうした、患者 
さんを選びだし、案内できるのも、 
パソコンがあれぱこそのことと申 
せましょう。 
また、先生は院内スタッフの交流 
にも大変神経をお使いのご様子。 
特に分院と本院のスタッフがー体 
感を失なわないようにという配慮 
もあるのてしょう。診療所単位の 
毎朝のミ−テンク゛内容を必ずフ 
ァックスでやりとりするようにし 
ているそうです。 
「うちでは院内研修というのが年 
に5回、ス夕ッフがグループに分 
かれて半年ぐらい準備して行う研 
究発表というのが年に1回ありま 
す。その他、学術講演への出席者 
のレポートとか、種々な資科や文 
書をスタッフは作るわけですが、 
それらは全部ワ−プロやパソコン 
を使って作るように指示していま 
す。相手に読んでもらいたいなら、 
読みやすく、ということです」。 
先生のコミュニケーションを大切 
にする姿勢は、患者に対するもの 
と同様、院内においても一貫して 
います。そして、それを支えるの 
がパソコンを初めとするOA機器。 
省力化による経費節減といった発 
想からぱかりでなく、さらに積極 
的にOA機器を活用しようという 
山田先生の取組みの姿勢は、これ 
からパソコン導入を考える先生方 
にとって、一つの指針となるので 
はないか―そんな感想を胸に、旭 
川の街と笑顔が絶えないデン夕ル 
スタッフの皆さまに別れを告げま 
した。